振り向けばヌエがいる

人生において1ミクロンも役立たないであろうことを丁寧に綴るブログ

ベランダに得体の知れないモノが生息している件

ある日のこと。洗濯物を干そうと窓を開けると、網戸のサッシのところに、カタツムリの殻のような物が張り付いていた。

ここは2階のベランダ。カタツムリなんているはずがない。そのときは軽くスルーして終わった。

そしてある雨の日、事件は起きた。

ベランダに置いていた植木の中に、貝殻状の小さな生き物を発見した。動き方や形状からして、カタツムリの赤ちゃんかなって思ったけれど、カタツムリにしては殻が縦方向に長い。

奴を『とんがりコーン』と命名しよう。

そもそも二階のベランダは飛べる虫以外はやってこない。なぜ、羽のないとんがりコーンがここにいるのか。もしかして、はるばると高い家の塀でも這ってきたのか。ベランダに植木鉢はあるが、2年間ずっと同じ場所で育てているし、土の中にいたにしては出現すんのが遅すぎやしないか。

害はなさそうなので暫く様子をみることにした。その判断を激しく後悔することになろうとは。

奴らはものすごいスピードで増殖。最初は2〜3匹だったのに、暫くすると目視しただけでも20匹はいる。そして植木鉢の中にとどまらず、床やら壁へとあちこち歩き回っている。家の中に入ってこようものならば、住居侵入罪で逮捕するぞ。

心配になってネットで調べてみると、陸に住む貝の仲間らしい。放っておくと数百から数千匹にまで増えるとのこと。ヤバい、これはヤバいぞ。

我が家の洗濯物がとんがりコーンでびっしり埋め尽くされるのを想像して身震いした。奴らにはどうも寄生虫の類がいることが判明。素手で触っちまったじゃねーか。

暫くは発生場所の特定に追われたが、未だにわからず。ささやかなるベランダの家庭菜園はこうして幕を閉じることになった。

 

そういえば、以前、『白いダスキンモップ』と闘ったことがある。これもまた、ある日、家の中で育てている植物に白いフワフワした綿がくっついていたので、手で取ろうとしたのだ。

しかし、予想に反してそいつは、ザザザーッと動いた。もうその姿形はまさに自らの意思で動けるようになった、白いダスキンモップ。体全体に触手があって、それを前後に動かしながらザザザーッと動くのだ。あのときの衝撃と精神的ダメージたるや、もう。全身の毛が総立ちしたよね、一瞬にして癒しの我が家が戦場に。

これまた泣きそうになりながら調べると、どうもカイガラ虫であることが判明。他の植物へも感染するらしく、急いでベランダに避難させて薬をまいたけど、恐ろしくて家の中に入れる勇気なんて1ミリもない。

 

部屋でグリーンを育てることへの憧れは捨てきれないが、虫たちと死闘を繰り広げねばならないことを思うと、憂鬱になる。

それはそうと、我が家で特に手入れをしなくても、元気に育っている最強にして最愛の植物がいる。その名も『ハエトリソウ』である。季節の変わり目や長く家を空ける用事があって他の植物が枯れ衰えようとも、こいつだけは青々と新芽を出して自己増殖を繰り返しつつも勝手にすくすく元気に育っている。さすが食虫植物。

こうなったら、ハエトリソウを庭の植木鉢に移植し、迫り来るとんがりコーンたちを迎え撃つのはどうだろう。その前にハエトリソウは貝殻溶かすことができるんだろうか?

 

まだ戦いは始まったばかりである。

 

 

 

 

 

カゴに埋もれて身悶えたい

うちにはカゴがたくさんある。10個とかそういうレベルではない。先日は家族に、「保険証はどこ?」って聞かれて、「リビングにあるカゴの中だよー」って答えたら、リビングだけでもカゴが軽く15個以上はあるので、どのカゴだよって軽くキレられた。

発端は私がかつて世界の僻地をバックパック一つで放浪していたときのこと。世界には、それはそれは美しいカゴがたくさん存在していて、そこに暮らす人たちの生活の一部として溶け込みつつも、カゴ本来の役割を全うしながら美しく朽ちていた。どれもこれも超絶欲しかったが、長期の旅の途中にカゴなんぞ買おうものならば、それをずっと手にもって移動しなければいけない。送るにしてもかさばるし、郵送途中に壊れそう、絶対にムリ。そんなわけで、いつも泣く泣く諦めて帰ってくるから余計に、カゴへの愛は膨らんだ。

いつか、私も素敵なカゴ使いになりたい!いつしか素敵なカゴに出くわすたびに、せっせと買い集めるようになった。

私の住む地域には、なぜだかカゴを扱うお店が異様に多い。家の傍にはカゴ問屋があり、まさに魔境である。隣街に行けば、世界中のカゴが揃うカゴ専門店がある。なんてことだ。これは何かの罠なのか。

そして今日も古道具屋さんで、いい具合に艶が出た、スイスの大きなアンティークカゴを見つけて迷わず購入した。新しい物よりも時代を経て艶が出ている物にぐっとくる。

そういえば、ペルーを旅していたときに、チチカカ湖に暮らすインディヘナの女性たちは、大きなカゴを抱えて市場でジャガイモなんかを売っていたっけ。

一番印象的だったのは、トトラで編んだカゴみたいな大きな舟が湖に浮かんでいたこと。乗員客たちを見送るインディヘナの女性たちが、ゆったりした踊りとともに天高くこだます祈りのような唄を披露してくれた。あのときに見た、空と湖の青さ、彼女たちの纏う色鮮やかな民族衣装、腰まである艶やかな黒髪のコントラストとの美しさは一生忘れないと思う。

再度ペルーを訪れることがあるのならば、超でっかいトトラ舟に乗って、チチカカ湖を気の済むまで漂いたい。